ブータンの観光名物：生殖器崇拝

ブータンを旅行する友人にお土産を頼むと、ペニスの木彫り、ペニスのキーホルダー、ペニスが描かれた絵葉書など、さまざまなペニスのモチーフのお土産を持って帰ってくる可能性が高いです。
彼らはからかっているつもりはなく、むしろブータンにおいてペニスの模様がどれほど密集して分布しているかは、想像できないほどかもしれません。

ここでは、玄関、屋根、梁、植木鉢、そしてドアの取っ手やトイレに至るまで、あらゆる場所にペニスのモチーフが彫られ、描かれ、家の装飾の半分近くが性器のデザインで埋め尽くされています。

これらのペニスは、鮮やかでリアルなだけでなく、クリエイターたちは想像力豊かな擬人化によって、それぞれにユニークなキャラクターと魂さえ与えています。あるものは優雅にたなびくリボンのようであり、あるものは雄々しく旋回するドラゴンのようです。

見て、ペニスにはセクシーな不死鳥の目があります。教養のない子供なら、泡立つ池の魚と勘違いするかもしれません。しかし、口から泡を吹く比喩は実に見事です。

もちろん、血まみれの赤や汚れた茶色のディルドのほかに、もっとカワイイピンクのディルドもあります。

二次元のペニスの壁画に加え、地元の人々は屋根の角に小さな木製のペニスを吊るして魔除けにしたり、室内に大小さまざまな形のペニスの木彫りをいくつか置いて飾ったりして、360度ペニスに囲まれた没入感を得ようとしています。

初めてここを訪れた人は、この光景を見て言葉を失うでしょう。
しかし、ブータンの人々は、山あり谷ありのペニスの世界を前にして、恥ずかしがることなく心を開いて、穏やかに、ゆったりと顔を見合わせます。

おかしいですか？ブータンは仏教国ではありませんが、なぜそんなに落ち着いているんですか？

ブータンがペニスに寛容なのは、15～16世紀のラマ僧「チュッカ・クラ」に起源があります。 「生殖器の寺」として知られる「チムラコーン寺」に祀られ、その多彩な人生と奇妙な逸話が語り継がれています。



彼はチベットで生まれ、ブータン中を旅して教えを説き、歌を使ってダルマを広め、機知に富んだ言葉で世界を説明しました。
チュッカ・クラの教えには滑稽なものもあり、性的な意味合いを強く含んでいました。 彼の人生における主要な趣味は女性との関係であり、「5000人の女性の聖なる使者」という法名まで持っていました。地元では彼を、「狂気の聖者」と呼んでいました。
チュッカ・クラの最大の伝説は、彼の巨大で強力なペニスに関連しています。彼のペニスがブータンの悪魔を征服し、それによって彼は神になったとされていました。
この伝説がペニスに対する寛容な態度の背後にある理由の一つとされています。

当時、ブータンはまだ人口不足に苦しんでいましたが、チュッカ・クラがペニスの魔術を行った結果、間もなく湧き出るように新生児が生まれ、短期間のうちにブータンの国の人口が補充され、国を危機から救ったという偉業を成し遂げました。
この出来事により、聖者の聖なるペニスはブータン人に崇拝され、チムラコーン寺はまさに豊穣の寺として知られるようになりました。



寺院には、チュッカ・クラの裸像と誇張しすぎたペニスが祀られています。
ブータン人カップルが結婚後も妊娠できない場合、妻は夫と一緒に大きな木製のペニスを持って寺院を一周し、子宝のパワーを引き出し、干支の星を召喚して胎児の姿勢になることができると信じられています。また、将来の子供の名前を尋ねたり、死後、安らかに眠るために遺灰を寺院の周囲に撒く夫婦もいます。
ブータンの人々は、ペニスに対してオープンであるという長い歴史を持っています。

また、地理的、社会的、歴史的な影響から、この地域には独自の習慣や文化が豊かに蓄積されています。
ブータンはヒマラヤ山脈東部の南斜面、チベット高原の南麓に位置し、面積は4万平方キロに満たないものの、深い山々と茂る森林に囲まれ、大河によって形成されています。物資が不足しており、生活環境も厳しいため、自然人口は70万人余りとまばらです。このような生活条件のもとで、ペニスが描かれた壁には、延命、人口繁栄、国家繁栄への地元の人々の願望が具現化されています。

繁殖への強い欲求に駆られ、ブータンの歴史や伝統的な習慣では、男女間の恋愛や結婚に関する厳格な規則はほとんどありません。一夫多妻制や一妻多夫制は認められていますが、ブータンでは結婚は神聖なものであり、子宝祈願の寺院を訪れて深い祝福を求めるとともに、ダルマ王や高僧に結婚式の司式をしてもらわなければなりません。
つまり、ブータンでは、心の持ちようは自由ですが、感情を軽視することはできず、男女に幸せをもたらすという真摯な願いが必要とされています。

ブータンは有名な仏教の王国であり、国内には2000以上の古い仏教寺院と1000以上の仏塔があり、ほぼ全ての家庭には仏龕があり、国民のほとんどが敬虔な仏教信者です。
チベット仏教では、ペニスは悪霊を追い払う魔法の武器として象徴され、八卦鏡に似ているとされます。ペニスが描かれた部屋は、性的なイメージを誘発するのではなく、むしろシンボリックで、金剛杵のように悪霊や邪悪な存在から守り、平和と幸福を祈る場所とされています。
ブータンの寺院では、しばしばペニスに関連するものが祀られています。寺院の僧侶は自らペニスの木彫りを制作し、信者の頭をそっと叩いて加護を示すこともあります。

ブータンは強い生殖器崇拝の文化がある一方で、家父長制的な文化を発展させておらず、むしろ「母系氏族」が存在します。現地の結婚習慣では、男性は妻の家庭に入り、妻が名誉を継ぎ、長女が財産を相続します。
ブータンの生殖器崇拝では、健康な男性が丈夫な生殖器を用いて、妻に健康な子供をもうけることが重視されます。

今、この生殖器崇拝はブータンの生活と文化に浸透しており、村々ではペニスを石や土壁に刻んだり、装飾品にしたりしています。


ブータン人は村の入り口や泉などに木彫りの男根を立て、伝統的な宗教行事では「アブラ」と呼ばれる仮面をかぶった道化師が、小さな木製のディルドを振り回しながら、祝福を求めることもあります。さらに、ドライバーはキーホルダーや車に木製のディルドをぶら下げ、旅の安全を祈願します。


また、ブータンではジャングルで一人歩いているときに、悪魔を追い払うためにペニスを投げつけるという興味深い伝承もあります。

海外からの観光客の増加に伴い、ブータンではペニスをテーマにした工芸品の専門店が複数できています。このような伝統的な要素が商業化されることで、地域文化が広く知られる一方で、経済成長を促進する一因ともなっています。

一部の先住民にとっては、これが伝統的な価値観から逸脱していると感じられることもあります。ティンプーで育った地元の人々の中には、「色とりどりのペニスの木彫りが窓際に並んでいて、まるでヒマラヤ式のアダルトショップのようだ」というような反応があるかもしれません。
これは文明が異なる文化と接触する際に生じる現象であり、異なる視点や感じ方が存在することを理解する必要があります。

観光の際には、ファルスがブータンの観光カードとして利用されている背後には、愛に関する祈りと誠実な祝福が込められていることを忘れずにください。

伝統的な文化や価値観に対する尊重と理解が、異なるバックグラウンドを持つ人々が共存する鍵となります。